これまでの話で、キトサンについてイメージしていただけるようになりましたか?今回は、少し話題を変えてキトサンの原料でもある、カニ殻についてお話します。
生物は自身の体を守るために、何らかの防御システムを持っています。例えば人間では、「免疫」という複雑で高度なシステムがあります。
そこで、カニをはじめとした甲殻類はどうかというと、人間のような高度な免疫システムは持ち合わせていません。その代わりに、キチン質を含む硬い殻で覆われています。
もちろん、人間の免疫システムは万全ではありません。そこで、自然にあるいろんな生物が持つ身を守るための成分を人間にも少し分け与えてもらって、免疫システムの弱点を補強するのです。ただし、出来るだけ自然に近い形で摂取することが重要です。
「夢を」で使用しているカニ殻粉末は、この出来るだけ自然に近い形ということにこだわりました。通常、粉末品の殺菌というのは、大変厄介で、熱をかけるか薬品で処理するかぐらいしかないのです。しかし、熱をかけると当然たんぱく質は変性しますし、もっと高い温度をかけると、炭化してしまいます。また、薬品処理ですと薬品の残留が問題となります。
カニは海底に棲んでいるため、そのカニ殻に付着している雑菌も当然の事ながら、地上にいる雑菌とかなり様子が違います。こいつがなかなか厄介で、また生命力が強くて当初は殺菌に手間取っていました。高熱をかければ簡単なのですが、カニ殻には約30%のたんぱく質が含まれ、そのたんぱく質が変性してしまいます。また、30%のキチンが含まれますが、これも壊れてしまいます。
そこで、試行錯誤の上ようやくたどり着いたのが、高圧低温殺菌でした。カニ殻粉末を小さな袋に入れ、大きな釜の中に、その袋をいくつも入れて、圧力をかけるのです。と同時にスチームで熱して殺菌するという手の込んだやり方です。ここにたどり着くまでに本当に苦労しました。